第36章 純白の羨望 【伊達政宗】R18
私は思いきり腕を振り上げると、手のひらが空を切る。
パシンッ!!
パシンッッ!!!
手加減一切無し、
全力の平手打ちを食らわせた。
往復の。
その強い反動で、女の身体が傾く。
(家康 「うわ・・・・・・」)
(秀吉 「・・・・・・え?莉乃だよ・・・な?」)
(光秀 「くくっ、そうきたか」)
(三成 「素晴らしい平手打ちですね。なかなか威力がありそうです」)
(信長 「やりおるな。流石は俺の莉乃だ。」)
(政宗 「・・・・・・!?」)
女性が女性に手を上げるなど。
それが姫なのだから尚更驚いた様子の武将たち。
その視線を背に感じるが、地面に膝を着く彼女に向かって私はこう言った。
「一発目は、毒を盛られたお返し。
とばっちりもいいとこだわ。
二発目は、うちの武将たちを侮辱した罰。
私は誰とも寝ていませんので、あしからず。」
彼女は呆然とした顔でこちらを見ている。
真っ赤に腫れてきた頬を押さえながら。
「ただ、同じ女性として気持ちが分かる部分もあるの。
だからね・・・」
私は美しい打ち掛けをさっとひるがえすと、まさに姫といった風に優雅に歩き、正面に立つ。
信長様、武将たち、そして「本人」が私の次の行動に気付いた時には
パシンッッ!!!
先ほどと同じように全力で頬を打つ乾いた音が、牢に響いていた。
政宗 「うぐっ・・・」
政宗も少し揺らぐ。
「これは、彼女の気持ち。私からお伝えしとくね。」
(家康 「ぷぷっっ」)
(秀吉 「何だろうな、この爽快感は」)
(三成 「少し羨ましい気もします。この気持ちは一体・・・」)
(光秀 「実に愉快だな」)
(信長 「政宗、情けないのう。体幹を鍛えろ体幹を。」
「信長様、以上です。ご協力ありがとうございました。」
私は信長様に頭を下げた。