第36章 純白の羨望 【伊達政宗】R18
女「なんだい、全員お揃いで。
なんとまぁ、死に損ないの姫様まで登場とはね。
これから殺されるあたしを笑いに来たのかい」
「話は全部聞きました。
あなたが何をして、何を言ったのかも。
政宗との関係も、全部。」
女「斬首だそうだね。
ふんっ、神妙な顔しちゃって。
どうせ腹ん中ではいい気味だって笑ってんだろ!」
「いえ。
このままあなたが刑を執行されたら、逆に気味が悪くて仕方ありません。」
女 「は?」
「ですので、自分なりに決着を付けに来ました。
門番さん、開けて下さい」
牢の番人へ、鍵を開けるように言う。
私の後ろには信長様を始め、織田軍の武将が全員揃っていた。
先ほど発した言葉に、背後でハっと息を飲む音が聞こえる。
秀吉 「何言ってんだ!!
それだけは絶対にだめだっ!!」
信長 「黙れ猿。 良い、開けてやれ。」
秀吉 「しかしっ!!」
信長 「これだけの武将に囲まれて、あの女に何が出来る。
万が一、あの女が莉乃に指一本でも触れてみろ。
その際には俺が即刻斬る。」
秀吉 「・・・・・・」
信長様に促され、牢屋の鍵が開いた。
「さぁ、こちらへ。」
私の目の前に立つように指し示すと、彼女は目を細め、いぶかしげな顔をしながらも言われたままやってきた。
手を伸ばせば届くところに、私を殺そうとした女がいる。
所業はそれは恐ろしいものだけど、不思議と怖い「人」とは感じなかった。
私は深く呼吸をし、背をすっと伸ばす。
彼女の瞳から、視線を外さない。
牢の中は、耳が痛くなるほどの静寂だった。