第36章 純白の羨望 【伊達政宗】R18
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数日後。
私は牢にいた。
姫が牢獄へ立ち入るなど、前代未聞だったそうだ。
ましてや、自分を殺そうとした相手と対峙するなんて。
格子をはさんだ向こうには、私に毒を盛ったという女性がいる。
簡素な着物を着ていても、十数日に及ぶ取り調べと獄中生活をしても、そして今日が刑の執行日でも・・・
この女性の目には私への憎悪の炎が燃えていた。
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家康の献身的な看病と政宗の料理、
そして何かと理由を付けてはお見舞いの甘味を持って訪れる皆さんのおかげで、毒に冒された体はすっかり回復していた。
そして。
久しぶりに出席した軍議で、私は獄中訪問を願い出た。
すると、信長様のご判断を待たずして秀吉さんがバっと立ち上がる。
秀吉 「ぜーーーーったいにだめだ!!
あの女はお前を殺そうとしたんだぞ!?
そんな奴に会う必要なんて無い!
それにもう沙汰は下ったんだ。お前はもう・・・
忘れろ、な?」
家康 「ばっかじゃないの。
あんた一応「姫」なんだから大人しくしてなよ」
三成 「もしや毒の影響で思考が乱れているのでは?
心配です・・・」
そんな中、政宗は一緒に頭を下げてくれる。
あの日、二人だけで筆談したあの時にお願いしてあったから。
政宗 「その場へは俺も付き添う。
絶対に危険が及ぶようなことはしない。
どうか、莉乃の願いを聞いてやって下さい」
光秀さんだけは、その場のやりとりをじっと聞いていた。
頭を下げられた信長様は少し片眉を上げると、
信長 「いいだろう。
あの女の処刑前に牢に降りることを許可する。
ただし、貴様ら全員一緒に、だ。
お前たちがいながらも莉乃がこのような目に遭ったのだ、貴様らも最後まで見届けよ」
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