第36章 純白の羨望 【伊達政宗】R18
政宗 「言い訳も、申し開きもしない。
あいつは、、、 莉乃に毒を盛ったあいつとは、城下を見回ってる時に出会った。
莉乃がこの世に来る、少し前のことだ。
軽い気持ちでそういう関係になっちまってな。
だらだらとその関係が続いてる時に、お前がここに来て織田軍の世話役になった。
自分でも不思議なんだが、前のように女と遊ぶことが楽しくなくなってな。
お前は信長様の持ち物。
いずれは・・・正妻になるんだろ?
それなのに、つい、お前と重ねちまって。」
そこで途切れてしまう。
・・・?重ねる?
政宗 「あいつのこと、傷つけちまった。
それがきっかけで、お前に毒を盛って殺そうとしたらしい。
元はと言えば全部俺が悪い。本当に、すまない」
そう言って頭を下げる。
私はすぐに肩を押して、頭を上げさせた。
私は政宗に、筆で文字を書くジェスチャーをする。
政宗 「あぁ、書きたいのか。待ってろ」
紙と筆を手に入れた私は、質問を書いた。
政宗 「『重ねるって何』だと? お前なぁ・・・
そういう事は察しろよ。
察した上で、心にしまっとけ。
例えそれが本心でも、口に出さない方がいいって事は・・・
出しちゃいけねぇ事も、世の中に沢山ある・・・。」
いつものような覇気が無い。
絞り出すように言うその口調には、苦しさが滲んでいた。
政宗 「『その人はどうなったの?』か。
投獄された。
牢に入れたのは俺だ。
光秀が取り調べを行い、調査は終わってる。
織田家の姫を殺そうと毒を盛ったんだ、信長様の沙汰次第だが・・・おそらく死罪は免れないだろう。
その原因を作った俺も、謹慎中だ」
し、死罪!?
いくらなんでもそれは重すぎる。
話を聞く限り、確かに私はとばっちりだ。
だけれども、それで一人死ぬなんて・・・私が今後耐えられそうにない。
私は政宗に、書いた。
それを読んだ政宗は、ぎょっとした顔で「お前・・・!?」とつぶやいた。
そして一瞬ゆがんだ顔をすぐに引っ込めて、「分かった、なんとかする」
意を決した様子で頷くと、部屋を出て行った。