第36章 純白の羨望 【伊達政宗】R18
光秀 「家康の荒療治に異議を唱えた奴がいてな。
秀吉が鉄拳制裁を加え黙らせたのだ。
ふっ、あの時は珍しく家康も荒ぶっていたな。
あんなに慌てた様子の三成を見たのも初めてだ。
まったく・・・
我が軍の将たちは莉乃の事となると、感情表現が豊か過ぎで困ったものだな」
その時のことを思い出したのか、呆れたような口ぶりをしつつも口に笑みが浮かんでいる。
あぁ、政宗の口の傷はそれだったのね・・・
秀吉 「お前なっ!!
「自分だけは冷静でした」みたいな顔しやがって。
茶屋で政宗に一喝したの、聞こえてたからな。」
家康 「俺も聞こえてました。
光秀さんもずいぶんと『表現豊か』でしたけどね」
光秀 「・・・・・・」
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___光秀が店の奥、調理場へと駆け込んだ時。
そこにいたのは、客席の様子に驚いた店員と、慌てふためく店主、そして一人の派手目な女だった。
光秀「ほう、これはこれは。
邪悪な気の主は女だったか。
見たところ、誰かに雇われた刺客ではなさそうだが。」
「はっ?あたしが刺客だって?笑わせんじゃないよ。
どっちが邪悪なのか、武将のくせに見て分かんないのかい」
馬鹿にしたように鼻を鳴らす女。
光秀 「どういう意味だ」
「あたしから政宗を奪い、さらにあんたたちまで骨抜きにされて。
可愛い顔してどうせ全員と寝てんだろ、厭らしい。
織田軍の武将が揃って、同じ女に引っかかって。
安土の恥さらしだってんだよ!
処分してやることに感謝してほしいね。」
光秀はその言葉に目を細める。
光秀 「処分、か。
信長様の縁故である姫をそのように貶めるとは。
相当に恨みがあるらしいな。詳しい話は城でじっくり聞こうか。」
珍しく、はらわたが煮えかえるような怒りを感じる。
感情を抑えるのに必死だった。
莉乃、そして武将への侮辱。
これだけで切り捨てる理由は十分なのだが、莉乃のために抑えた。
理由を聞き出さねば。なんとしてでも。
政宗も絡んでいるならなおさらだ。
政宗 「おっ、お前!!
なんでここにいんだよっ!!」
政宗が調理場の入り口で呆然と立ち尽くしていた。