第36章 純白の羨望 【伊達政宗】R18
政宗 「・・・・・・」
家康 「今後の莉乃の様子は逐一信長様に報告するんで。
気になるなら信長様に聞いて下さい。」
そう言うと、障子を勢いよく閉めた。
家康は一見冷たいけれど、こんなことをするタイプじゃない。
それに気になったのは、政宗の顔がチラリと見えた時、口の端が切れてその回りが紫に変色してた。
思考がついて行かない・・・
意識が闇に引きづられるようにしばらくうとうとしていると、また廊下から数人で歩いてくる音がする。
「入るぞ」
その声の主は信長様。
ほんの少しだけ目を開けると、秀吉さん、光秀さんも一緒だった。
みなさん、疲れた顔をして・・・
信長 「死の淵から蘇ったか。流石は幸運を呼び込む女だ。
毒にやられて死ぬなど・・・俺が許さん。」
信長様は寝かされた布団の横に膝をつくと、私の頬をそっと撫でた。
信長 「・・・痩せてしまったな」
その指はとても温かい。
いつもの威厳ある声なのに、その表情は、目は、心配だったことを物語っていた。
・・・・・・今、毒とおっしゃった?
信長 「家康、お前はこのまま看護に当たれ。
莉乃、早々に治せ、命令だ。
俺は先に城に戻る。お前たちは莉乃を見舞ってやれ」
そう言うと漆黒の羽織をひるがえし、部屋から出て行ってしまった。
いつもの垂れ目に心配と疲労の色が濃く出ている秀吉さん。
その表情に「大丈夫だよ」と答えてあげたいのに、できない自分がもどかしい。
せめて、笑顔だけでも見せたいけど・・・
秀吉 「莉乃・・・無理して笑わなくていい。
よく、がんばったな。えらいぞ。
目が覚めて良かった、ほんとに・・・
妹みたいなお前がいなくなると思ったら、俺は・・・・・・」