第36章 純白の羨望 【伊達政宗】R18
____________
手足が動かず、鉛を飲み込んだかのように重い身体。
まるで縫い付けられていたのではと思うほどに、開くことを拒む瞼(まぶた)。
喉は焼けるように熱く、胃がキリキリと痛み、
意識がまた深いところに落ちていきそうになる。
それでも、なぜか起きなければならない気がして、
それに、誰かに呼ばれた気がして・・・
渾身の力で目を開けた。
ぼんやりと目に映ったのは、自分を見下ろしている家康の顔だった。
家康「莉乃、俺が見える? 話さなくていい、声は出ないはずだから。
見えてたら、まばたきして」
私は言われた通りにする。
ほんとだ、声が出せない・・・!なんで?なんで??
家康 「視覚障害はなし。
手、触るよ。感覚ある? 脚は??
こっちも大丈夫だね。・・・・・・良かった。」
そう言うと家康が一度、大きく息を吐いた。
横になったまま、まばたきで会話をしながら家康の診察らしきチェックを受けていく。
なんでこうなってるの?
何が起きたのか・・・思い出せない。
思い通りにならない身体、出せない声、それにはっきりと思い出せない、何か。
呼吸が乱れて、パニックになる。
家康 「莉乃、落ち着いて。もう、山は越えたから。」
・・・山は越えたって何?
家康は障子の向こうに控えているだろう待者らしき人に向けて、
「莉乃の意識が戻ったと信長様に伝えて。とりあえず第一関門は突破した、と。」
そう指示を出している。
しばらくすると、廊下が騒がしくなった。
バタバタ走る音がしたと思ったらスパンと障子が開き、部屋に入ってこようとしていたのは政宗だった。
すぐに家康が立ち塞がる。
政宗 「莉乃!!意識、戻ったって!? 会えるのか!?」
家康につかみかかる勢いでいる政宗に、家康が冷たく言い放つ。
家康 「まだ診察中なんで入らないでください。
それに・・・こんな原因作った政宗さんに、莉乃が会いたがると思います?」