第36章 純白の羨望 【伊達政宗】R18
繁盛している店だけあって、店内は満席で混み合っていた。
だが、俺たちが来た事で店内は水を打ったように静まり返っている。
そりゃそうだろうな。
これだけの武将が一同に店に訪れるなど、普段ならあり得ないことだ。
口を開こうとした秀吉より先に、莉乃が前に進み出た。
「店長さん、突然大勢で押しかけてごめんなさい。
こちらの甘味が美味しいと城内でも評判で、
みんなで食べに来ちゃいました。
ご一緒させていただいてもいいですか?」
そう言うと柔らかい笑顔で店主に向き合っている。
店主 「ひっ、姫様まで・・・!?ありがたきお言葉・・・
どうぞどうぞ!!
今すぐに客を追い出しますゆえ、少しお待ち下さい!」
「だめだめ、そんなことしないでください!
席が空くまで外で待ってますから。
みなさんも、どうぞごゆっくり」
慌てて席を立ち上がりかけていた店内の客にも、
笑顔で声をかける莉乃。
俺たちは優遇されることが当たり前。
これだけの武将が揃って、外で順番を待つなど聞いたことがない。
下手すれば「無礼」だと店主が手討ちにされてもおかしくないほどの事だ。
それに慣れていた俺たちは、莉乃の
「席が空くまで待っている」という言葉にとんでもなく驚いた。
家康 「えっ、待つの?なんで?」
「なんでって、当たり前でしょ?
あ、家康も早く食べたいんだね?分かるよ、その気持ち。
同士よ、共に頑張って待とうね!!」
盛大な勘違いをしている莉乃に、珍しく光秀が吹き出した。
家康 「いや・・・そうじゃなくて・・・」
三成 「莉乃様は思慮深く優しい姫様ですね。」
秀吉 「莉乃楽しみにしてたんだろ?
いいのか?待てるのか??」