第36章 純白の羨望 【伊達政宗】R18
(政宗Side)
女の長屋から出た政宗は、城下を一人歩いていた。
沈んだ気持ちを抱えて。
すると、向こうから歩いてくる見慣れた三人の姿が
視界に入ってくる。
「あっ、政宗~~!」
今、一番会いたくて、会いたくない・・・
莉乃の姿だった。
しかも、笑顔で手を振ってきている。
秀吉と光秀を両脇に従えて、見た目だけはすっかり姫様だな、あいつ。
___ただし、手をぶんぶん振らなきゃ。
「お疲れ様~!何してるの?見回り??」
政宗 「あぁ、まぁ、そんなとこだ」
光秀 「ほう、ずいぶんと色っぽい場所の見回りだな」
光秀が顔を近づけ、首元の香りを嗅ぐような仕草を見せる。
こいつは・・・こういう事には特に鋭い。
秀吉 「あ!お前また・・・公務の最中に!!」
秀吉が目をつり上げる横で、莉乃がきょとんとした目をしている。
「色っぽい場所の見回り?」
俺は二人に「これ以上言ってくれるな」という鋭い目線を送り、話を反らした。
政宗 「お前たちは何やってんだ?莉乃の護衛か?」
信長様の左右を守る武将が揃っておでましとは、
随分と大事にされてる姫だな。
「城下にね、新しいカフェが出来たんだって!
向かってる途中だったの。
お針子仲間の口コミだと、和スイーツが絶品らしくてね!
でね、「食べに行きたい」って言ったら、秀吉さんたら『甘味ばかり食べたらだめだ』って・・・
一人で行くつもりだったのに『それもだめだ』って。」
ぷーっと口を尖らせている。
おいおい、姫がその顔か。
思わず吹き出しそうになるのをこらえた。