第35章 千歳の誓約 前編 【織田信長】R18
「でもね!
こればっかりは・・・
女性側ばかりが欲しがっても駄目だと思うの。
男性側だってがんばらなきゃだめじゃない?
二人の子供なのに。
女性の方から褥に誘って断られるなんて・・・
そんなの寂しすぎる」
針子仲間のしょんぼりとした様子が思い出され、
莉乃は思わず口調が強くなってしまった。
上気した赤い頬に潤んだ瞳で「男性だってがんばらなきゃだめ」「二人の子供」などと発する莉乃に、武将たちは二の句が継げない。
上座では珍しく驚いた顔をしている信長。
秀吉 「お、おお、そ、そうだな。そうだな。
莉乃の・・・言う通りだ」
秀吉が動揺して答える。
三成 「莉乃様がそこまで思い詰めていらしたとは・・・
私でよければ、いつでも頼ってください、ね?
精一杯頑張りますので。」
光秀 「お前が何を頑張るんだ。」
政宗 「おい莉乃、それなら早く言え。
俺はいつでも大丈夫だ。
女から褥に誘われて断るなんざ、男じゃねぇよ」
家康 「あの生薬を煎じてから、あの薬草の粉末を・・・」
自分の思いを吐き出せた莉乃はすっきりとした気分になり、
「はー。私が悩んでも仕方ないか。
とりあえず、食べようっと」
と政宗の料理をまた黙々と食べ始める。
その様子を見ていた武将たちは心穏やかにいられない。
「あれ?
皆さんは食べないんですか?」
政宗 「いいから・・・どんどん食え」
うんうんと頷く武将たち。
それぞれが様々な感情を抱きながら・・・
『精が付く』料理を平らげていく莉乃を見ていた。