第34章 情愛の行方【イケ戦5周年記念】石田三成編
三成はさっと立ち上がり、莉乃の元へと駆け寄るようにして近づいた。
その場に腰を下ろすと、腿の上でぎゅっと握りしめられていた莉乃の手を取り、包み込むように優しく触れる。
三成 「私がお慕いしているのは莉乃様です。
昨日は少し、すれ違ってしまいましたが・・・
もう大丈夫です。
これからはすれ違いなんて起きないほど、ずっと貴方のそばにおりますから。」
三成の紫の瞳に輝きが戻り、莉乃へと向けられる。
包んでいた手を取り、その甲へ優しく唇を落とした。
「三成君・・・」
見つめ合う二人の視界には、ここが軍議中の広間で、武将たちがこちらを見ていることなど一切入っていない。
政宗 「はいはい、そこまでだ。
あとは二人きりになってから続けてくれ。」
家康 「縁談なんて必要ないんじゃない?」
秀吉 「莉乃の世話・・・・・・」
照れ笑いする莉乃と、晴れ晴れとした笑顔の三成。
若干・・・
いや、だいぶ残念そうな武将たちの苦笑いが、軍議の間に広がっていた。
_____その晩、天主
天主では信長と光秀、秀吉が酒を酌み交わしていた。
秀吉 「結局・・・落ち着くところに落ち着きましたね。」
光秀 「俺は信長様と莉乃がくっつくと思いましたが」
信長 「ふんっ、何を言うか。
お前だって狙っていただろう。」
光秀 「狙っているのと、手に入れるのはまだ別の話。
ただ遠くから愛でるだけ、という方法もありかと。」
信長 「くくっ、貴様が『愛でる』だと?
意地悪するの間違いだろう」
秀吉 「まったく光秀は・・・趣味が悪いな」
信長は杯を空にすると静かに置き、欄干から見える月に目をやった。
今夜は半月。
淡い月の光が、天主に柔らかく差し込んでいる。