第34章 情愛の行方【イケ戦5周年記念】石田三成編
信長 「三成は戦場では後方にいることが多い。
常に前線に出る貴様らに比べたら、危険は少ないな」
独り言なのか、二人に同意を求めたいのか。
どちらとも取れるこの台詞に、長年仕えている二人は信長の意図を悟った。
秀吉 「信長様・・・」
光秀 「信長様が一番、莉乃を大事に想っておられる。」
信長 「当たり前だ。
あやつは・・・天下統一への験担ぎ。
笑っていなければ、効果はあらん。
それに・・・生きてこそ、だ。」
信長の見ている月に、二人も顔を向ける。
それぞれが淡い気持ちを莉乃に向けていたこの年月。
終止符が打たれた寂しさを、半分に欠けた月に重ね合わせていた。
信長 「これから益々、戦は激化する。
天下統一まで、一気に攻めるぞ」
光秀 秀吉 「御意」
三人は再び杯を酒で満たす。
苦い気持ちと決意を流し込むように、一気に煽った。
情愛の行方 石田三成編 _完_