第34章 情愛の行方【イケ戦5周年記念】石田三成編
___翌日 軍議
軍議も終わりにさしかかった頃・・・
信長 「三成、秀吉より聞き及んでいると思うが。
貴様に縁談だ」
三成 「・・・・・・はい。」
途端、広間が静まりかえる。
一斉に三成の方を向いた武将たちは皆、一様に驚いた顔をしていた。
光秀 「我が軍の参謀が死んだ魚に成り下がっていたのは、それが原因だったか。」
政宗 「はっ?三成に縁談!?まだ早いだろ!」
家康 「たで食う虫もなんとやら。
良かったな、三成。
お前、これ逃したら先なさそうだもんな」
秀吉 「こら、家康。今は・・・やめとけ」
秀吉は三成の気持ちを代弁するかのように、
静かに首を横に振る。
三成がこのような態度を見せたのは初めてだった。
表情も声も。
いつもの柔らかな雰囲気はなく、昨晩は寝ていないのだろう。
目の周りがうっすらと濃く色づき、紫の瞳には影が落ちていた。
そして、この縁談がいかに三成が乗り気でないか、皆にも痛いほど伝わっていた。
政宗 「で、相手は??」
三成 「存じ上げません」
家康 「は?」
秀吉 「僭越ながら信長様、この縁談ですが・・・
三成は正室を迎えるにはまだ早すぎませんか?
いくらお相手の大名に力があるとは言え・・・」
信長 「誰が大名だと言った?」
秀吉 「え?
姫の希望で三成と縁談をすることになったのでは?」
信長 「そうだ」
秀吉 「姫の希望を信長様が飲むほど、相手は大手の大名の出なのかと・・・」
その時、広間の外から声がかかる。
「お話の途中、失礼します」
入ってきたのは莉乃だった。
その顔は泣きはらした翌日といった風で、目は腫れ赤みが残っている。
その痛々しさに、武将たちは声をかけるのをためらうほどだった。
「信長様、その縁談の件ですが・・・
無かったことにして下さい・・・」