第34章 情愛の行方【イケ戦5周年記念】石田三成編
「____ます・・・」
三成 「はっ!も、申し訳ございません!
今一度、おっしゃっていただけますか?」
せりあがってくる悲しみを押し込め、莉乃様の聞き漏らしてしまった言葉をもう一度乞う。
私としたことが・・・
「み、三成君!
そんなに何度も言える内容じゃ・・・」
顔を真っ赤にされ、また下を向いてしまわれた。
頬を赤く染めた莉乃様の愛らしさ。
この魅力にあがらえる男などいるのでしょうか?
その頬に触れたいと、気がつけば手が伸びていた。
いつもはこんなに軽々しく、女性に触れたりなどしないのに。
滑らかな頬に指を滑らせると、莉乃様ははっと息をのむ。
その音に、私も我に返った。
三成 「す、すみません。つい・・・
なんだか今日の私は変ですよね。申し訳ございません。
莉乃様、先ほどのお言葉とは?」
ふぅ、と呼吸を整えると、莉乃様から驚くべき言葉が発せられる。
「三成君を・・・お慕いしています。
ずっと、前から。」
私は今日ほど、自分の立場を恨めしく思ったことはありません。
自分に向けられる視線が少しだけ特別だと言うことに、気付いておりました。
・・・でもそれは己のうぬぼれかもしれない。
あまりにも莉乃様を想うばかりに、希望が幻覚となっているのかもしれない。
そんな風に思い、感情を封じ込めてきました。
縁談が決まってから、相思相愛だったことを知るなんて。
神様はなんて酷なことをするのでしょう。
莉乃様、私もお慕いしておりますよ。
そして、貴方の幸せを一番に願っています。
だからこそ・・・
こう告げなくてはならないことをお許し下さい。