第34章 情愛の行方【イケ戦5周年記念】石田三成編
(三成Side)
部屋から出て行く秀吉様を見送り、先ほど聞いた縁談話を頭の端に追いやる。
莉乃様が来て下さったのだからと、痛む胸の奥からいつもの笑顔を引き出してきた。
冷静にならなくては。
お座りになるようにと促し、私も莉乃様と向かい合うようにして腰を下ろす。
三成 「莉乃様・・・何かご用時で?」
莉乃様が突然、御殿にいらっしゃるのは珍しい。
まるで急いで歩かれたかのように、髪が少し乱れている。
そして、おや?その瞳。
一体どうなさったのでしょう・・・?
いつもと違う莉乃様の様子に、心の底が揺れ出していた。
「突然押しかけてごめんね。
三成君に聞いて欲しいことがあって・・・」
三成 「はい、何でしょうか?」
それまでうつむいていた莉乃様が顔を上げ、二人の視線が重なる。
あぁ、いつ見ても莉乃様はお綺麗ですね。
陽が当たると少し茶色がかかるその瞳が、まっすぐに自分を見て下さっている。
こんな幸せな時間が、あと少しで終わってしまうなんて・・・
妻をめとればこんな風に気軽に莉乃様とお会いすることも出来ないでしょう。
先ほど秀吉様が仰ったことが蘇ってくる。
「好いた女を側室で取ればいい」、ですか・・・
それはできないのですよ、秀吉様・・・
莉乃様を側室になんてことは、絶対にできないのです。
莉乃様は織田家ゆかりの姫。
そして、先の世から来られたお方。
この時代の側室制度などにはそぐわないお方です。
例え莉乃様がどんなお立場だったとしても、制度が許したとしても、
私はあなたを一番____