第34章 情愛の行方【イケ戦5周年記念】石田三成編
武将たちはどいつもこいつも、莉乃を気に入っている。
莉乃より選ばれた者は、二つ返事で縁談を快諾するだろう。
同盟関係にある家康もしくは政宗を選んだ場合、織田家から嫁がせることで関係がより強固となる。
秀吉、光秀を選んだ場合。
どのみち縁談は俺を通すのだから問題ない。
こうして『政治的に』円滑に進ませるように考えながらも、胸の奥では焼けるような痛みが走っていた。
あやつらの誰でも・・・
嫁となったならば、500年後に戻る、戻りたいと思うことはないだろう。
織田軍の験担ぎとしての役目も、引き続き命じられる。
俺が手に入れられずとも・・・
莉乃を遠くからでも、守れる。
莉乃が笑ってさえいれば、それでいい。
己に利を言い聞かせながら、再び莉乃へ問うた。
信長 「あやつらの中で慕う者はおらんのか?」
「わ、私のいた時代では誰かが結婚を決めてそれに従う制度ではないんです!
お互いに好き合った者同士が、その・・・
付き合いを経て、お互いの意思で結婚を__」
信長 「貴様のいた時代では、な。今は違う。
言ってみろ、そいつと結ばせてやる。」
この時代、結納の際に初めて結婚相手の顔を見ると言うことも珍しくない。
親同士、武将の場合は主が決めた相手と祝言を挙げるからだ。
ただ、先の世から来た莉乃にとってそれは過酷というもの。
俺の持つ権力を使って、莉乃の慕う武将と添い遂げさせてやる。
信長なりの、深い愛情だった。