第34章 情愛の行方【イケ戦5周年記念】石田三成編
(政宗Side)
___いつものように、軍議が終わり莉乃が茶を持って入ってきた。
「お疲れ様です~」
にこにこしながら一人一人に茶を渡していく。
茶屋で莉乃が三成に気があると聞いて以来、俺はそれとなく二人の様子を見ていたが発展する気配が全くない。
そりゃそうだ。
莉乃の他の武将と三成への態度の違いに、本人は全く気がついていねえんだから。
ったく、三成のやつ…
現に今もそうだ。
「三成君、はいどうぞ」
笑顔が三成にだけ大きい!
こういうとこだぞ!気付け三成!!
三成 「莉乃様、ありがとうございます」
三成も笑顔ではあるが・・・
そう言うと普通に受け取って、また秀吉との雑談に戻ってしまった・・・
政宗 「チッ。三成、お前!」
やばい、思わず出てしまう。
三成 「はい、なんでしょうか?」
家康 「どうしました、政宗さん」
政宗 「いや・・・なんでもない・・・」
不思議な顔をしてくる三成と家康の視線をかわし、莉乃の方に目をやると、何もするなという目で見返してくる。
若干怖い目をして。
そしてその背後には、口角を少しだけ上げた光秀がいた。
面白がりやがって、光秀の奴め。
このままじゃ、いつまで経っても三成が莉乃の気持ちに気付くことはないだろう。
見守っててと言われたものの、じれったさに背中がむずがゆくなる。
___三成、お前早くくっつかねーと莉乃は俺がもらうぞ。
見守っててやるにも限界があるからな。
軍議が終わり、広間を出て行く三成の背中に、
声にならないその気持ちを飛ばして政宗もその場を後にした。