第34章 情愛の行方【イケ戦5周年記念】石田三成編
政宗 「『企む』なんて人聞き悪いことじゃねぇよ。
恋愛経験豊富な俺らが、莉乃たちをくっつけてやるってことだ。」
「『俺ら』って・・・光秀さんも恋愛経験豊富なの?」
政宗 「あ、光秀は「恋愛経験豊富」じゃなく「人生経験豊富」の方か。」
「だよね、光秀さんが恋愛系に強い感じはしないもん。」
光秀 「お前たち・・・ 俺にも一応、それなりの__」
政宗 「光秀・・・金銭の授受が絡む関係は『恋仲』と言わないからな?」
「…えっ!? 金銭!? 光秀さん、えっっ!
プ、プロのお世話になってるの!?」
光秀 「ぷろ?なんだそれは。
ふざけがすぎるぞ、政宗。
莉乃が本気にするからやめろ」
政宗は大笑いをしている。
「はぁ、もうびっくりした。
えっと、政宗の気持ちはありがたいけど、三成君とのことは自分で頑張るから。
だから、見守ってて?」
光秀 「莉乃がそう言うのだ。
政宗が一肌脱がずとも、自分でどうにかするだろう。」
つまらなそうにしている政宗には悪いが・・・
俺は莉乃と三成が恋仲になるのを積極的に応援する気にはならなかった。
政宗 「そうか・・・
まぁ、何か相談事があればすぐ俺んとこ来いよ。
乗り換えも可、だぞ」
「ふふっ、分かった。
では私は先に城に戻りますね。夕餉の支度のお手伝いがありますので。
光秀さん、ごちそうさまでした。」
そういってお辞儀をすると茶屋から出て行った。
政宗と二人、莉乃の背中が遠ざかっていくのを見ている。
政宗 「いいのか?」
光秀 「何がだ」
政宗 「お前、莉乃のこ___」
光秀 「あの娘が笑っていれば、それでいい。
それに三成は将来有望な男だ。この先も表舞台を真っ直ぐに歩いて行くだろう。」
「俺とは違って」という言葉が出かかって、飲み込んだ。
政宗 「・・・・・・・・・」
城下の空がだんだんと茜色に変わっていく。
今日は陽を浴びすぎた。
俺はまぶしい莉乃の笑顔と共に、今日の出来事と己の苦い思いを胸に閉じ込めた。
日の差さない、真夜中のように暗い胸の奥に。