第33章 情愛の行方【イケ戦5周年記念】徳川家康編
(莉乃Side)自室
光秀さんと別れ、自室に戻ってきた。
座布団に腰を下ろしても、今日起きたことが頭の中をぐるぐると巡って落ち着かない。
今日は衝撃的なことが重なった。
よりによって・・・
一番見られたくないところを、一番見られたくない人に見られてしまったから。
最初のショックは、家康が女の人を連れていた事。
可愛かったな、あの子。
見るからに姫、という雰囲気で。
私のように、突然この世に飛ばされて根付いたタンポポのような姫なんかじゃなく、生まれついて蝶よ花よと育てられた姫感が漂っていた。
武将の家康に、お似合いな・・・
二人の歩く姿を思い出して、胸がぎゅっと締め付けられる。
さらに・・・
よせばいいのに、家康たちについて行ったところを光秀さんに見られてしまった。
しかも・・・
茶屋でキスされてしまい、そこを家康に見られてしまうなんて。
なんてタイミングの悪いことが続いたんだろう・・・
頑張って好きな人はいないと嘘をついたけど、なんていっても光秀さんだから・・・
ばれてるかもしれない。
家康に、光秀さんとは何もないって、伝えたかった。
ただふざけてされただけだ、って。
ううん、今更そんな事伝えても意味ないか。
あんなに可愛い彼女、いるんだもんね。
もっと早くに気持ちを伝えていたら、私にもチャンスあったのかな。
この乱世に飛ばされてきて、家康のことを好きになって。
現代にいた時だって、こんなに人を好きになったこと無いくらい・・・家康が好き。
でも、片思いで終わっちゃった。
ばかみたい、私。
私は始まる前に終わってしまった恋心を消化しきれず、ただ、生暖かい滴が頬を流れるに任せていた。