第32章 情愛の行方【イケ戦5周年記念】明智光秀編
光秀 「なかなかの演説だったぞ、莉乃。
だがな、言う相手を間違ってやしないか?
お前がそのように想うほど、俺はお前に何もしてやっていない」
「光秀さん、もう、5年ですよ?
それに、特にこの1年は・・・もっとよく見ていましたから。
光秀さんがどういう人か、知っているつもりです。
何をしてもらったから、ではなくて…
そのままの光秀さんが好きです。」
ひだまりのような笑顔を向けてきた。
その温かい瞳の奥にあるのは、純粋な愛。
「はぁ・・・バカ娘が。
降参だ。」
まったく、俺としたことが。1年だと?
信長様の言う通り、阿呆だ。
この埋め合わせは必ず・・・これからしていく。
桔梗に誓って。
想いを交わしたばかりの、さらに熱のある莉乃に手を出すわけもなく。
その晩は続きの夕餉を取らせてやり、(箸を奪い返し、また食わせてやった。恥ずかしがる莉乃の顔を眺めるのはこの上なく楽しい。)その後はよく眠るように言い含めてから、自分の御殿に戻った。
俺らしくもないが・・・言われた言葉を何度も繰り返し思い浮かべ、悦びを噛みしめながら。
御殿に戻った俺に信長様からの知らせが入り、急遽、城を離れた任務に赴く事になった。
出発したのはその深夜のこと。
直前に莉乃に文をしたため、帰城次第、可愛がってやるからしっかり風邪を治すようにと書き記す。
そして、帰城したのが今夜、という訳だ。
1ヶ月城を離れるというのは何度も経験があるが、今回のはそれとは違う。
己がこんなにもこらえ性がなかったのかとあきれるほど、任務先でも莉乃を求めていた。
城に戻り、その欲を莉乃も同じく灯していたのが瞳から伝わった刹那、
貪るように莉乃の体を求め、荒々しく熱を打ち込んでしまった。
抱き潰してしまったことを若干後悔しながら・・・
莉乃から伝わる暖かさと心地よい疲労感に目を閉じた。