第4章 梔子の嫉妬 ~後編~ 【徳川家康】R18
「い、家康…なんでこんなことするの?」
「理由、分かんない?」
「分かんないよ、だってこの間…」
「この間?」
「…きっ、気もないのに、こんな事するの…やめて…
・・・・・・・・・期待、しちゃうから…」
莉乃は今にも泣きそうな顔をしていた。
「はぁ……もう、、、あんたバカなの?
俺が今まで何回あんたの怪我の治療してきたと思ってるの。
あんたの面倒一番見てたの、俺でしょ。
気がないのにそんなことする訳ない。」
「……」
「だから…付け入ってよ…」
「え?」
「俺に、、、、もっと付け入って」
驚く顔の莉乃に口付けた。
付け入って、と言ったくせに、付け入りたかったのは俺の方かも知れない。
それに、『付け入る』なんて不埒なことではなく、莉乃に対してはもっと神聖な気持ちだった。
___初めて奪った莉乃の唇は、柔らかくて、暖かくて…莉乃そのものだった。
壊れ物を触るようにそっと抱きしめて、唇が触れるくらいの口づけをくり返す。
朱に色づき蒸気した頬にも、いつも上がっている口角にも。
莉乃は驚いたように微動だにしなかったけれど、何度も口を付けるうちにふっと力が抜ける瞬間があった。
「おっと…」
抱きしめる腕に力を込める。
このまま…この先を期待してしまうけれど、男として通さなきゃいけない筋があった。
「ねぇ莉乃… 俺だけの莉乃になって。」
しばらく俺の目をじっと見つめていた莉乃は潤んだ目でコクっと頷いた。
同意をもらった俺は、、、もう止まれなかった。
ゆっくりとその場に莉乃を押し倒す。
赤い顔をして潤んだ目で見つめ返してくる莉乃は、とても可愛くて、色っぽくて。
その表情だけで体の熱を灯すのに十分だった。