第31章 情愛の行方【イケ戦5周年記念】基本編
「なるほど。
自分が恥ずべき行為をしたことを俺に黙っていて欲しい、と言うことか」
家康に好意があったから追ったのではないことを、暗に確認する。
「はい・・・」
「莉乃、顔をこちらへ。」
人差し指をくいくいとこちらへ折り曲げる。
内緒話でもするのかと思ったのだろう、素直に顔を寄せる莉乃の唇に、己の唇を重ね合わせた。
離し際、唇の端にまだきな粉が残る部分を舐めて。
それは、とても甘かった。
「なっ!!!み、つひでさん!!」
目を丸くし、急激に顔が赤くなる莉乃。
「内緒にしといてやる、駄賃だ」
澄ましたように言ってみるも、莉乃の唇の柔らかさは想像以上で・・・
内心はかき乱されていた。
口づけするとこのような顔になるのか、この娘は。
きな粉を美味しいと思ったのも、初めてかもしれない。
困って顔を赤く染める莉乃をもっと見たい。
可虐心が沸くのと同時に、ぐずぐずに甘やかしたい、そう思った瞬間だった。
「___何、やってるんですか」
いつもより声を低くした家康の声が背後から聞こえた。
顔を見ずとも分かるその怒りを含んだ声に、家康のこともからかってやりたくなる。
「家康!? か、彼女さんはどうしたの?」
家康 「は?
それよりあんたここで何やってんの、光秀さんと」
「あの・・・・・・」
光秀 「家康・・・
今俺が莉乃に何をしていたか見ていただろう?
口づけの最中に声をかけるな、無粋だぞ」
「ちょっと、光秀さん!」
光秀 「なぁに、照れるな。
おや、まだきな粉がついているな。取ってやろう」
そう言うとさっと顔を近づけ、口角を舐めた。
「んっっ」
光秀 「この場でそんな声を出すな。
二人きりになってから存分に出させてやるから、しばし待て」