第31章 情愛の行方【イケ戦5周年記念】基本編
家康の方を見ると完全に表情が消えていた。
表情は消えていたが何を考えているかは、手に取るように分かる。
そして「失礼します」と早足に店を出て行った。
「なんであんなこと!」
さらに顔を赤くした莉乃が抗議の声を上げるも、全く気にならなかった。
莉乃から一瞬発せられた、艶のある声が頭の中でこだましていたから。
が、家康には少し刺激が強すぎたか。
しかし、あいつも莉乃狙いだとはな。
あの様子なら、割と本気かもしれない。
「なに、戯れだ。
それに何をしているか聞かれて答えられなかったろう?
本人を前にして。」
にやりと笑ってみせる。
「そ、それはそうですけど・・・
ここで口付けする必要なんて・・・」
目を潤ませた莉乃にゾクゾクとした感覚が湧き上がってきた。
この際、ハッキリしておくのも良いかもしれない。
莉乃もいい大人の女性だ。
これだけの武将に囲まれながら恋心一つも浮かばない訳ではないだろう。
「莉乃、お前、惚れてる男はいないのか?」
「えっっ、突然何ですか」
目に見えて動揺している莉乃。
この様子は、いるな。確信する。
「お前もいい年頃だ。慕う男がいてもおかしくない。
相手によっては、俺が協力してやれないこともないぞ?
家康のことを追ったこと、黙ってやるついでだ。
誰に惚れてるのかも言ってみろ。」
机に両肘を付き、顎を手のひらで支える。
莉乃が答えたのは・・・
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分岐ルートへ続く
光秀編 P298~
家康編 P310~