第30章 御伽の国の姫~別館~【豊臣秀吉】R18
ぼんやりと目を開けると、そこには自分を見下ろすいくつもの目があった。
「きゃっっ」
思わず小さな悲鳴を上げてしまう。
その弾みで、額に乗っていたと思われる濡れた手ぬぐいが横に落ちた。
「ちょっと、なんで政宗がここにいるの?」
政宗 「運ぶの手伝ってやったのに、なんだその言い方は。」
「えぇ!!運んだってどこから!?いつ!!??
服は着てた??ここはどこ!?」
光秀 「ふっ、そう興奮するな。質問は一つずつにしろ」
「なんで光秀さんまで・・・」
なぜだか絶望的な気持ちになる。
三成 「莉乃様、お目覚めになられましたか。
良かったです。
宴の後、政宗様の発案で私たちだけで飲み直そうと言うことになったのですよ。」
ニコニコと説明してくれるも・・・
「それがなんで・・・ここにいるの?」
政宗 「皆で秀吉の御殿に押しかけてやったら、倒れたお前を抱いて部屋に戻るところに出くわしてな。
俺も運ぶのを手伝ったって訳だ。」
光秀 「お前、見た目によらず重いな」
「う、うそ・・・」
笑っている光秀さんに血の気が引く。
光秀 「冗談だ、そんな顔をするな。
残念ながら俺はお前を抱えていない。
秀吉に代わると言ったのだが、却下されてしまった。」
くっくっと笑っている光秀さんはさておき・・・
何がどうなっているのか分からず、きょろきょろと秀吉さんを探す。
光秀 「秀吉様ならすぐに戻られますよ。
今、家康様と薬を取りに行かれています。」
ちょうどその時、廊下をバタバタと駆ける音が聞こえた。
家康 「廊下は走らない、っていつも自分が言ってるじゃないですか」
秀吉 「今は有事!いーんだ!」
シャっと障子が開くと秀吉さん、その後ろに家康の姿が見えた。
秀吉 「あぁ莉乃!目が覚めてたか、良かった」
家康 「だからただの湯あたりだろうって言ったでしょ・・・
莉乃、でも一応飲んどいて。」
そう言って粉薬の包まれた油紙を渡された。