第29章 御伽の国の姫~別館~【猿飛佐助】R18
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佐助 「莉乃さん。
なぜ、俺が今夜星を見に誘ったか分かる?」
「えっ!? んーー・・・綺麗だったから?」
佐助 「ファイナルアンサー?」
「ファイナルアンサー」
こくこくと頷く。
佐助 「もちろんそれもある。けど一番の理由は・・・
星空の下でロマンティックを演出して、俺の気持ちを伝えたかったから。」
「気持ち?」
佐助 「莉乃さんに先に言われてしまった。
先手を打てなくて残念だ。」
「・・・・・・」
うれしさと恥ずかしさで何も、言えない。
佐助君の澄んだ瞳を見つめながら次の言葉を待つ。
佐助 「それで、気持ちを伝えて莉乃さんのハートを掴んだ後に___」
その瞬間、強い風が私たちをさらう。
ザーッと吹き抜けていく風に言葉が聞こえなくなり、繋いでいた佐助君の手が強く握られた。
佐助 「部屋に戻ろう、身体が冷えてしまう」
風で途切れてしまった言葉の先が気になるけれど、促されるまま私の部屋に戻った。
「お茶、煎れようか」
なんとなく落ち着かなくなった私は、気を沈めるためお茶の準備に取りかかろうとした。
佐助 「___待って」
後ろから抱きしめられ、佐助君の腕が私の胸の前でクロスされる。
肩に顎がそっと乗ってきた。
佐助 「お茶よりも・・・莉乃さんが欲しい。」
佐助君の落ち着いた声が耳をくすぐる。
「えっ」
佐助 「さっき風に止められた言葉、もう一度言わせて。
莉乃さんのハートを掴んだ後は・・・
めちゃくちゃに抱きたい」
本心がそのまま。
掛け値なしの欲望が、言葉と、ぴったりついた背中から伝わってくる。
どちらの音か分からないトクトクと早打つ心臓の音が、加熱し始めた身体に刻まれた。
回された腕に力がこもる。
熱を持った顔を見られたくなくて、振り返れない。