第28章 御伽の国の姫~別館~【上杉謙信】R18
________翌朝
親睦を兼ねた朝食に武将たちが集まっていた。
昨日は宴でそう感じなかったけれど、これだけの歴史的に有名な武将が一堂に介すなど、佐助くんが目を輝かせるのも分からなくはない。
家康 「佐助さぁ・・・
昨日からずっと俺について回ってるけど、信長様の隣も空いてるよ?」
シラっとした顔をしながらとんでもない方へ誘導している。
佐助 「確かに信長様も魅力的ですが、この先の300年を思うと・・・
やはり安土にいる間は家康さんに色々お話を聞きたいところです。」
家康 「この先の300年?何言ってんの。
やっぱり変なやつ。」
謙信 「佐助、お前の主は誰か忘れてはいないだろうな。」
謙信様が刀に手をかけじろりと佐助くんを睨むと、その場から笑いが起きた。
信長 「その忍び、なかなか優秀なようだ。
新たな主として俺を崇めるがよい。」
信玄 「信長・・・お前の冗談は冗談に聞こえないぞ」
以前は敵対関係だったのが嘘のように穏やかな関係が築かれた今、私のわがままでその関係にヒビを入れてしまうのが怖かった。
だから謙信様との関係を公にできていなかったのだけれども・・・
政宗が女中さんと共に作った朝食をいただく。
幸村 「うめーな、この卵焼き!」
政宗 「だろ?いっぱい食え」
幸村 「なんでお前がドヤ顔ってんだよ」
政宗 「俺が作ったからに決まってんだろ」
幸村 「はっ!? 伊達政宗、お前すげーな」
義元 「武将引退してうちの城に来なよ。城の専属調理人として再就職を斡旋するよ」
政宗 「そうだな、考えとく」
秀吉 「おい、そこは即断れ、即。
義元殿、うちの武将を引き抜こうとするのはやめてくれ。」
また起きる笑い。
そして和やかに食事も終わり、お茶が配られ雑談が始まる。
謙信 「信長、莉乃は春日山城に住まわせる。」
和やかだった雰囲気が一気に静まりかえる広間。
突然その話題を振った謙信様を見つめながら、信長様の返事を待った。