第28章 御伽の国の姫~別館~【上杉謙信】R18
謙信 「お前が仕立てたのか?」
「はい、お揃いの寝間着です。
これから暑くなりますし、涼しく着られるように浴衣生地で仕立ててみました。
それに・・・離れていても同じものを着ていれば寂しくないかな、って思って。」
謙信様にも着付け、二人でお揃いの格好になった。
「気に入っていただけましたか?」
謙信 「お前が丹精込めて作ったものを気に入らないはずがない、ありがとう。」
ぎゅっと抱きしめられる。
「ずっと一緒にいられたらいいのに。」
謙信 「前々から考えていた、お前を手元に置くにはどうすれば良いかを。
信長との休戦協定を解き、戦を仕掛け・・・
戦利品としてお前を手に入れるのは簡単だ。
だがそれではお前の望む形ではないのだろう?」
「はい・・・血が流れたり仲違いするのは嫌です・・・」
謙信 「莉乃、本気で越後に来る気はあるか?」
「もちろん、行きたいです!
謙信様のおそばにずっといたい。
でも、織田家ゆかりの姫として安土にいる以上、私にはどうすることもできません・・・
越後に行くならば、きちんと認められて送り出されたいのです・・・」
幸せな時間を過ごした後だからか。
また離れてしまうことがとても辛く感じて涙が溢れてくる。
謙信 「明日、信長と話す」
「何をですか?」
謙信様はそれ以上教えてくれず、この夜はまた謙信様に愛されぐずぐずになるまで溶かされ、眠りに落ちたのは太陽が昇りかけてからだった。