第27章 御伽の国の姫 後編
大名 「ようやく見つけました、貴方ですね。
どんなに着るものが変わっても、髪型が変わっても…
顔に煤がついていても…
あなたのその美しい目を偽ることはできない。
お迎えにあがりましたよ、姫。」
そう言って、莉乃の手を取り口付けを落とす。
会場から割れんばかりの拍手が巻き起こった。
立ち上がって喜ぶ者、隣同士で手を取り合い喜び合う者、手ぬぐいで目をおさえる者までいた。
二人は見つめ合い、手を取り合う。
これでめでたく話が終わるかと、会場全体が幸せな雰囲気になった時…
継母 「待ちなさい!!!
そんなはずがあるわけ無いでしょう!!!!」
継母の叫び声が会場を突き抜ける。
___会場は一瞬で静まり返った。
継母 「これは何かの間違いです!
この薄汚い娘が姫であるはずがない!!
うちの娘のどちらかを正室にしてください!!
シンデレラあんた… あんたさえいなければーー!!」
そう言うと、懐から短剣を取り出す継母。
一気に私に向かって駆け寄り…腹を刺した。
__目の前の席では、武将たちが腰に差した刀の柄に手を添えている。
この反射神経の良さはさすが武将たち。__
短剣が刺さったのは、大名の腹。
直前に私の前に走り出たのだ。
うっっ、と言いながら苦しい顔で崩れ落ちる大名。
「大名様――――――っっ!!!」
__もちろん短剣は偽物で刺さっておらず、
演出上の演技なのだけれど…
会場のあちらこちらから悲鳴が上がった。
目の前の武将たちもこの劇の成り行きに、驚きの顔をしていた。
(信長 「あやつ、男よの」)
(佐助 「家康さん、大丈夫です!処置不要、演出です演出。」)
(幸村 「継母、やべーな。こえー、夢に出そうだ。」
「お義母さま、なんてことを!!
大名様、しっかりして!死なないでっっ!」
会場は一瞬にして重く悲しい雰囲気に包まれた。
すすり泣く声までし始める。
そこへ…
また物の怪が登場した。
物の怪「まったく、しょうがないね。
乗りかかった船だ、最後まで面倒見てやるか。
ちちんぷいぷいちちんぷいぷい、けがよなーおれっ! えい!」
そうするとみるみるうちに大名は元気になった。