第27章 御伽の国の姫 後編
継母 「まぁぁぁぁぁぁ、大名様!!
先日の宴では娘たちと十分にお話できなかったのですよね、まさかそれで訪ねてきてくださったのですか!?
光栄の極みでございますぅぅぅ」
大名 「あぁ、宴にいらしてたんですね。
それは気づきませんでした。
今日はこの草履の持ち主を探しに国中を回っていたのです。
どなたのものか…ご存知ありませんか?」
そう言うと、古びた草履を差し出してきた。
義姉1 「そ、そのような草履を履くはずがございません」
義姉2 「そうですよ、大名様。
私たちは、もっと素敵な草履をたくさん持っていますもの。」
「あっ、その草履は私のものです。
良かった!戻ってきて…」
大事そうに受け取る莉乃。
大名 「では、あなたは先日の……姫?」
「い、いえ… 人違いだと思います。」
継母 「そうでございますよ、大名様!
この子が姫なわけがありません!!」
私は顔を見せないように下を向く。
莉乃を上から下まで見回す大名。
そこにいたのはぼろを着て三角巾をした小汚い娘で、あの夜の美しい姿はどこにもなかった。
大名 「少し…上を向いてくださいませんか?」
そっとあごに指をかけ、上を向かせる。
顔についた煤を優しく指で拭き取る大名。
視線が絡み合う二人。
___会場は静まり返っていた。
この時代にはまだない、恋の物語。
身分差やいじめ、恋といったいつの時代にもあるそれと、音楽やダンスなど他国の新しい文化。
それが融合したこの劇を目の前にし、この会場にいる全員が、この恋の行方を固唾を飲んで見守っていた。
南蛮の文化に慣れている武将たちですら。___