第26章 御伽の国の姫 前編
私が舞台に一人登場する。
(ボロボロの出で立ちを見た武将たちは、皆一様に驚き、息を飲んでいた。
「莉乃に着替えを」 三成くんにそう指示する信長様の声が聞こえてしまう…)
「私の名はシンデレラ。
私には優しい母上と父上がいました。
ですが…
その優しかった母上は亡くなってしまい、その後、父上が二度目の祝言をあげたのです。
その新しい母上には、すでに二人の娘がいました。
私に姉ができたのですが、、、」
__継母と姉二人が登場する。
__私以外はドレスをまといきらびやかな姿だった。
継母「今日は大名様のお城で大~きな宴があるんだよ。
飲めや歌えの大騒ぎさ。
しかも、そこで大名様が正室をお探しになるって話じゃないか。
この二人のどちらかがお嫁さんになれるかもねぇ」
そう言って高らかに笑う継母。
義姉1 「わたし、シンデレラみたいに不細工じゃなくてよかったわ。
今夜、大名様に見初められるかもしれない~」
義姉2 「ほんとね~。わたしたちのどちらかでも大名家に嫁いだら安泰ね~きゃははは」
(政宗 「どこの大名だ?」)
(家康 「知りませんよ」)
(三成 「莉乃様はどんな格好でも麗しいですね!」)
継母 「さぁシンデレラ、あんたはさっさと掃除をおし!!」
そう言って強く肩を押しやる。
「あっっ!」
舞台上で転げる演技をする私。
(目の前の武将たちが一斉に席を立つ。
三成くんが、列の後ろの皆さんにすみませんと頭を下げながら「み、みなさま!芝居です、芝居です」と武将たちをなだめている)
義姉2 「じゃ、私たちは宴に行ってくるから~
ばぁぁい」
義姉1 「あんたはせいぜい掃除でも洗濯でもしてなさいね!」
そう言うと床に置いてあった瓶を足蹴にして倒し、
中の水をわざと床にぶちまける。
(政宗 「あんのやろう!」)
(三成 「政宗様、演技ですっ!」)