第25章 青葉の光明 【伊達政宗】 R18
そして政宗は列になって座る武将たちのことも見回してから、こう告げた。
「お前らにも、婚姻の証人となって欲しい。
莉乃は先の世から来て、親も親族もいない。
いわば、お前らが親族の代わりだ。
まぁ、莉乃のことを妹なんて思ってる奴は一人もいないと思うけどな。
それでも、俺に莉乃を任せてもらえないか。
頼む。」
そう言って頭を下げた。
正装してきたのは、このためだったのか。
皆に頭を下げてまで…
気が付くと私は涙が溢れて止まらなくなっていた。
信長 「莉乃はやらん、そう言ったらどうするのだ?」
政宗 「その時は、同盟を解消し真っ向勝負するまで。
戦利品として、莉乃をもらっていきます。」
自信たっぷりで信長様の強い視線を跳ね返す。
こちらが痛々しく感じるほどの視線のやりとりの後…
信長 「くっ、政宗ごときがいいよるわ。」
さも可笑しそうに信長様は笑いだした。
信長 「莉乃、貴様はどうなんだ。
初めて聞いたと言う顔をしておったが」
片眉を上げて問いかけてくる。
「わ、私はもちろん、政宗についていきます!」
思いのほか、声が大きく出てしまった。
家康 「そんなに気合入れなくても聞こえる」
ぶっきらぼうに言うが、目は優しかった。
信長 「莉乃が決めたなら致し方ない。
政宗、もしも泣かすようなことがあれば即刻斬る。」
そうなったら本当に斬りそうな勢いで、信長様は認めてくださった。
政宗 「その心配は無用です」
広間の雰囲気が暖かいものに変わる。
信長 「莉乃は織田家ゆかりの姫だ。
婚礼の儀は盛大に執り行うゆえ、ぬかりなく準備をするように。」
武将たちに言い含めてくださった。
ちゃんと送り出してくれる安堵に、また涙が出てきた。
秀吉 「政宗……」
家康 「ちょっと秀吉さん、顔怖いです」
光秀 「まさか政宗が嫁を娶る気になるとはな。
一生遊び呆ける奴かと思っていたが。」
政宗 「莉乃に出会ってなきゃそうなってたかもな。」