第25章 青葉の光明 【伊達政宗】 R18
___翌日 軍議の広間
秀吉 「まだ政宗は来ないのか。
莉乃、お前一緒に来たんじゃないのか?」
「うん、私は針子の仕事からそのままこちらに来たから、政宗とは別なの。」
信長 「昨日、政宗から莉乃を同席させたい旨の言付けがあった。
理由はなんだ?」
「わかりません。ただ、一緒にと言われただけで…」
三成 「政宗様、いかがなされたのでしょうね」
家康 「政宗さんの事だから、どうせ宴がしたいとかその辺でしょ。」
___「遅くなってすみません」
障子の向こうから政宗の声がしたと振り返った途端…
思わず息を飲んだ。
信長 「貴様、何だその格好は」
他の武将たちも皆一様にぽかんと口を開け驚いている。
政宗は伊達家の紋章が入った正装、紋付袴を着ていた。
秀吉 「お前どうした!? 今日は何かあったか?」
やっとのことで秀吉さんが問いかける。
少し笑顔を向けただけで、その問には答えなかった政宗。
私は驚き、そしてその姿にただただ見惚れ、何も言えなかった。
いつも座るはずの場所ではなく、上座の信長様の正面に腰を下ろす政宗。
何かを察したのか、光秀さんだけがにやりとしていた。
まるでこれから面白いものが見られる、といった表情で。
政宗にいつもの軽い雰囲気は全くなく、真剣な表情で信長様に向き合っている。
そしてその眼を信長様はひたと見返し、広間は静まり返っていた。
政宗 「単刀直入に申し上げます。
莉乃との婚姻の承諾を頂きたい。」
政宗の目は静かに、だけど烈しく燃えていた。
「えぇっ!?」
誰よりも先に素っ頓狂な声を上げてしまった。
政宗は末席に座る私に振り返ると、眼帯をしていない方の目がウィンクする。
政宗 「構わないだろ。筋は通す。」
いたずらっ子のような目をしているが、声は真剣そのものだった。