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【イケメン戦国】永遠の始まり~満ちて果てて~

第3章 梔子の嫉妬 ~前編~ 【徳川家康】




「おい、家康」

莉乃の部屋から出て廊下を歩いていた俺は政宗さんに話しかけられた。

「なんですか」

「お前、莉乃診察するんだろ?」

「はい、信長様からの命令ですから。」

「ふっ『命令』なぁ。 くれぐれも『医者』として接しろよ。」

「どういう意味ですか?」

「診察中に欲情するな、って言ってんだ」

「は?」


___二人の間に不穏な空気が流れ始める


「すぐ発情するあんたと一緒にしないで下さい」


「好きな女に反応するのは当たり前だろ?」


「好きな女?」


「あぁ。別に隠しちゃいねぇ。俺は莉乃が気に入ってるからな。」


「…信長様のものだって分かって言ってます?」

「だからなんだ? 欲しいものは手に入れる、ただそれだけだ。

指食えて見てるだけの『腰抜け』じゃねーからな、俺は。」


「・・・」

「莉乃は俺がもらう。だから、しっかりみてやってくれよ。
く・れ・ぐ・れ・も、医者としてな。」


挑発するように笑う政宗と完全に表情を消した家康の間には一触即発の空気が流れていた。


「おい!二人とも何やってんだ??」

廊下の向こうから秀吉さんと光秀さん、三成がやってきた。
秀吉さんは小走り気味で、光秀さんはにやけ顔で。

「別に。
政宗さんの与太話、聞かされてただけです。失礼します」


俺は、、、

早くその場を離れたかった。

政宗さんに無性に腹が立ったから。

なぜだか分からないけど。





足早に歩いていく家康の背中を、3人が見つめている。


「やっぱり図星だ」 政宗がにやりと笑う。


「政宗・・・お前一体何をしたんだ!?」

心配顔の秀吉が問う。



「俺が莉乃を気に入ってる、って話をしただけだ。

 莉乃は俺がもらう、ともな」


「・・・は?」


織田軍一の観察力を誇る光秀は、その会話だけで、政宗が何の目的で何をしたのか察した。


「ほう。家康のやつ、なかなか良い顔付きをするようになったな。

あちらからでも怒りの気を纏(まと)っていたのが分かったぞ。


・・・・・・だがな 、、、まだまだだな」



光秀のこの意味深な言葉にも笑顔にも、嫌な予感が深まる秀吉だった。


事の次第が全く読めていない三成だけが、首をかしげていた。

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