第24章 悠久と玉響 【明智光秀】
軍議が終わり、武将たちがいなくなった広間に二人が残っていた。
光秀 「で、話とはなんだ。説教なら聞かんぞ。」
秀吉 「昨日のお前…あれはあからさま過ぎるぞ。」
光秀 「なんだ、やはり説教か…
お前は良かったではないか、涼子殿に慕われて。」
光秀がにやりとしてみせるも、秀吉は何か笑えない考えを持っているようだった。
秀吉 「お前の涼子への態度は酷いもんだったが…
元々お前の性格を知っている者なら、あれは特別悪く当たったのではないことは分かる。 隠さなかっただけで。
俺が言いたいのは、莉乃への態度の方だ。」
にやついた笑顔を引っ込める光秀。
光秀「莉乃への態度とはなんだ。」
秀吉 「はぁ…お前なぁ。俺たち何年一緒にいると思ってるんだ。
隠しても無駄だぞ。
お前、莉乃に惚れてるだろ。」
光秀 「…何のことだか分からんな。」
秀吉 「お前は誰よりも感情を隠すのが上手い。
俺だって何度騙されたか。それが、俺が気づくほどだぞ?昨日のお前の態度は。
惚れるなとは言わないが…自覚はしとけ。」
(光秀Side)________
昨日の俺は感情の抑えがきかず、秀吉に対して黒い感情が湧き上がっていた。
涼子殿に話しかけれられるのですら鬱陶しく感じ、気が尖ったほどだ。
・・・その気持ちの正体に名前を付けるのは簡単だ。
もしこれが俺ではない誰かのことだったなら「嫉妬だ」と簡単に言ってのけられただろう。
だが、それを己の感情として認めるのは容易いことではなかった。
俺はいつものように莉乃をからかい、怒るあの愛らしい顔を時々見られれば十分だ。
莉乃に惚れたと認めたところで…
手に入るはずがないのだから。
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言いたいことを言い終えた秀吉は部屋を出ようと障子を開けた。
目の前には、、、
莉乃がお盆を持ったまま立っていた。
「あっ、あの! お茶器を忘れてしまって…
何も聞いていませんから!!」