第24章 悠久と玉響 【明智光秀】
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(普通に接してくれと言われてもな…
今日はやけに気が尖る。)
光秀は冷静に自己分析する。
感情の抑えが効かないことには気づいていた。
しかし、その気持ちの正体が何なのか。
そこに近づいてはいけない気がしていた。
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予定よりだいぶ早いが、腹が減ったという光秀さんの意見で昼餉にすることになった。
秀吉 「光秀から『腹が減った』など初めて聞いたぞ。
お前も人間らしいところがあるんだな」
光秀 「お前は俺を何だと思ってるんだ」
光秀さんに置いて行かれた涼子さんは秀吉さんが上手くなだめてくれたのだろう、政宗のお弁当を前に上機嫌だった。
「うわぁ、すごく豪華なお弁当!!美味しそう!」
涼子 「有名な将のお二人とご一緒できるどころか、政宗様の手作りのお弁当まで頂けるとは思ってもみませんでした!」
「政宗は武将にしておくのもったいないよね!
小料理屋でもやったらいいのに。」
光秀 「は?」
涼子 「え?」
秀吉 「そ、うか・・・?」
四人でわいわいとお弁当を楽しむ。
が、なんだか涼子さんの雰囲気が変わったような・・・
涼子 「秀吉様、こちらを召し上がっては?美味しいですよ」
秀吉 「あ、あぁ、ありがとう」
涼子 「秀吉様、お顔に米粒が…うふふ」
秀吉 「あぁ、そうか…」
この風向きの変わりように秀吉さんも気づいているようだった。
もちろん、光秀さんも。
光秀 「この後は貸し小舟に乗るんだったな。
涼子殿と秀吉が共に乗ってはどうだ?」
秀吉さんがぎょっとした表情で光秀さんを見る。
秀吉 「今日はお前たちの逢瀬だろ? 俺は莉乃と__」
涼子 「お気遣いありがとうございます、光秀様。
秀吉様、ご一緒に乗ってくださいませ」
ニコニコと答える涼子さんに、爽やかな笑顔を見せる光秀さん・・・