第24章 悠久と玉響 【明智光秀】
背中から秀吉さんの暖かさが伝わってくる。
とは言え・・顔に当たる風が若干痛い。
湖へ向かうペースが早過ぎるのだ。
「秀吉さん、、光秀さんなんだか急いでない?」
秀吉 「あぁ、あいつあんなに飛ばして…ったく何考えてんだか」
光秀さんのペースに置いていかれぬ様に秀吉さんもペースを上げる。
この速度で駆けられると、馬に乗り慣れていない涼子さんには辛いはずだ。
後ろから見ていると一方的に涼子さんが話しかけるばかりで、光秀さんはそっけない返事をしているようだった。
逢瀬を提案した張本人として、この状況に胸が痛む…
「あれじゃ…」
「分かってる。 あまり…芳(かんば)しくないな」
予定よりだいぶ早く湖についてしまった私たちは馬の手綱を木に縛り、休憩を取らせていた。
光秀さんのと涼子さんの雰囲気から話のきっけかけがつかめずにいると、
秀吉 「昼までだいぶ時間があるな。 散歩でもするか。」
二人がゆっくり話す時間を作ってくれようとしているのだろう。
秀吉さんの提案に乗ってうんうんと頷く。
「それはいいね!
ねぇ秀吉さん、 湖って貝とか取れるの?」
「貝か~、シジミなんかがいるんじゃないか?
よし、見てみるか。 莉乃こっちにいそうだぞ。」
それとなく光秀さん達と距離を取るように、秀吉さんに誘導される。
秀吉さんの気遣いがありがたい。
少し歩いた先で柔らかい砂に足を取られそうになり、体が傾いてしまった。
すぐに隣から出された手に支えられ、転ばずに済む。
「あ、ありがとう」
「この先も転ばないように、掴まってろ」
そう言って出された左手を取ると、指を絡められた。
ダブルデートの演出にかけては秀吉さんもかなりのものだ。
こうして私たちが仲良くしているところを見れば、光秀さんも気持ちが動くかも知れない。
親密そうに手をつなぐのもそう言った演出なのだろう。
手をつなぎながら、私と秀吉さんは光秀さんたちからなるべく距離を取るべく、歩き出した。