第24章 悠久と玉響 【明智光秀】
秀吉 「莉乃ーーー!!なんで光秀なんだ!!
もっと他にいるだろう!!むしろ他にしろ!考え直せ!!」
光秀 「それはどういう意味だ、秀吉。」
政宗 「宛先は本当に光秀か?俺への間違いだろ?」
信長 「随分と情熱的な内容だが…
四、五、…八、九… 書き間違えが多すぎる。
書き直しだ。」
そう言うと、ポイっと床に放る。
・・・皆がそれぞれ言いたい放題だ。
それは違うと言いかけた時___
三成 「皆様、お待ちください!
この字は莉乃様のものではありません。
さらに、この香も莉乃様がお使いの物とは違うようです。」
手紙を拾い上げ、鼻を近づける三成君の指摘があった。
家康 「なんで三成が莉乃の香に詳しいんだよ。」
家康が三成くんを睨むのを気にせず、私は事の次第を皆の前で話す羽目となった…
___「実はその手紙は預かったものなんです。」
それは数日前。
針子部屋で働く同僚の女の子に、『お願いしたい事がある』と誘われた城下の茶屋にて。
開口一番頼まれたのは、光秀さん宛の恋文を渡すことだった。
きっかけは数ヶ月前のこんな出来事。
城下で買い物中に酔っ払いに絡まれて困っていたところ、偶然にも光秀さんが通りがかり、追い払ってくれたらしい。
彼女は一瞬で恋に落ちてしまった。
自分のような下請けの人間が、武将である光秀さんに恋心を抱くなど、身分違いが甚だしいのは十分承知している。
けれども日を追うごとに想う気持ちが大きくなり・・・
最近では食事が喉を通らないどころか、一目だけでもお姿を見たいと城の入口や御殿への道で待機するほどになってしまっている、ということだった。
せめて気持ちだけでも伝えたい、としたためた手紙。
針子だと思っていた私が織田軍の世話役でもあることを知り、その手紙を託したいとの願いだった。
元々身分に垣根などないと無いと思っている私は彼女の気持ちがよく分かるから…
その手紙を渡すことを快諾したのだった。
「という訳なんです。」