第23章 平静と刺衝 【石田三成】R18
高まり始めた熱を伝えようと、三成くんを抱きしめ返す。
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____何かが、違う。
この間はもっと…
三成くんから発せられる熱量が大きかった。
三成くんに目をやると、彼もまた、何かが変だという顔つきをしていた。
「三成くん??」
「莉乃様… 私は一体… も、申し訳ございません」
そう言うと、私から手を離し…部屋を出て行ってしまった。
「待って、三成くん!!」
呼び声だけが部屋に残る。
高ぶった熱の行き先をなくした私は、虚しさと寂しさを自分では消化できなくなっていた。
(家康Side)
仕事で書庫にいた俺はそろそろ御殿に戻ろうと廊下を歩いていた。
「三成?」
莉乃の部屋から駆け出て行く三成の姿を見てしまう。
あいつには薬を処方した。試したのだろうか…それにしては様子がおかしい。
気になった家康は莉乃の部屋を訪ねた。
部屋の前に来てはっとする。
中ですすり泣くような声が聞こえたからだ。
「莉乃??」
声をかけると、あわてた様子の声が返ってきた。
「ちょ、ちょっと待って」
しばらくするとそっと障子が空き、目を真っ赤にした莉乃が現れた。
憔悴した様子になんと声をかけていいか分からない…
「三成が部屋を出ていくのが見えて…」
その先が続かなかった。
「私じゃ…だめなのかも」
「え?」
そう言うと莉乃はまた目が潤み始め、目尻から雫が流れ落ちた。
「三成から聞いた、あんたたちのこと。三成は名前を伏せてたけど…」
「……」
「何があったのかも。 それで俺が薬、処方したから。」
「何の薬?? 三成くん、どこか悪いの??」
心の中で三成に謝る。
三成よりも、今は目の前で心を痛めている莉乃の気持ちのほうが大事だった。