第23章 平静と刺衝 【石田三成】R18
家康はその赤裸々な内容に驚き、眉間にしわを寄せ…
しばらく口が空いたまま、反応できなくなっていた。
同じ男として、その状況は…いたたまれない。
薬を使ってでも落ち着けたい三成の気持ちが分かるような気がする。
しかしそれ以上に気になったのが、相手の『姫』のことだった。
いつも落ち着き払っている三成をそこまで昂ぶらせるとは。
家康 「その姫って… まさか俺の知ってる『姫』じゃないよな」
三成 「信長様に許可を頂くまでは、内密にしていたいと姫が申しておりまして…お名前はご勘弁を…」
家康 「その一言で誰か分かったけど。
はぁ… やっぱり聞かなきゃよかった…」
三成 「…実は昨晩も同じようなことを起こしてしまいました…」
下を向く三成を見ながら…家康は合致がいった。
三成は事に至れず、それが2回もとは…痛すぎる。
その事がきっかけで軍議でのあの二人の距離感、だったわけか。
しかし、あの莉乃と三成が…
心に渦巻く黒い感情を抑え、努めて冷静に話を進めた。
家康 「なるほどね、状況はわかった。で、お前は興奮しないような薬が欲しい、と。
気持ちを鎮める安定剤みたいなものなら調合できるけど、それでいい?」
途端、三成の目がキラキラと光りだした。
三成 「家康様、本当ですか!? ありがとうございます!!」
家康 「近い、三成。 俺の手を握るなら調合しないよ」
___その時廊下では…
家康に用事があり御殿を訪ねた政宗が部屋に入るに入れず…
その内容を聞いてしまっていた。
政宗 「はぁ…ったく三成の奴、しょーもねーな。
今日は出直すか。」
もっと早くに立ち去るタイミングがあったにも関わらず、その場を離れられなかったのは…
政宗もまた、複雑な感情に支配されてその場から動けなくなっていたからだった。