第23章 平静と刺衝 【石田三成】R18
一人づつにお茶を配っていく莉乃。
他愛ない会話をしながら、和気あいあいとすすむ。
が…
三成の順番になった時…
二人が目を合わせず、事務的に受け渡し、受け答えをしたことに武将全員が気づいていた。
光秀 「ほう、これはずいぶんと仲睦まじい様子だが」
秀吉 「光秀っ!!」
兄貴体質の秀吉が、光秀のからかいに難を付ける。
莉乃はちらりと光秀の方を見るも何も答えず、
「それでは、失礼いたします」
といつものように、にこやかにお辞儀をして部屋を出て行った。
__光秀は見逃さなかった、莉乃の目に一瞬悲しみが宿っていたことを。
その瞳の理由をどうしようもなく、知りたくなったことは、、、
気づかないことにした。
上座からその様子を全て見ていた信長。
何も言わないが、信長もまた莉乃の様子を案じていた一人だった。
三成 「ご心配をおかけして申し訳ございません、少し寝不足がたたってしまったようです。」
にこやかに皆に謝罪するも、武将たちは原因が莉乃との事だと薄々勘付いていた。
____軍議が終了し、先に御殿に帰った家康の元を三成が訪ねた。
家康 「何?」
三成 「折り入ってお願いがございます」
家康 「お前が俺に?やだよ」
三成 「そう言わず… お話だけでも聞いてください。
薬を…調合していただきたいのです」
家康 「あぁ、寝不足で頭回らないのか。
興奮剤とか刺激剤みたいなもの?」
三成 「いえ… その逆です」
家康 「は? お前、軍議であんなにぼーっとしてたのに?」
三成 「はい…」
三成が御殿まで自分を訪ねてくることは珍しい。
さらに薬の調合を頼まれたのは初めてだった。