第23章 平静と刺衝 【石田三成】R18
___いつものように軍議が行われているその広間では、武将たちの活発な意見交換がされていた。
織田軍の将の中で最年少である石田三成は、持って備わる頭脳明晰さと持ち前の優しさ、機転の良さで、若いながらも織田軍の参謀として頭角を現し始めている。
そんな三成が、珍しく…
どこか心ここにあらずといった風で軍議に参加していた。
秀吉 「おい、三成。 聞いてるのか?」
三成 「・・・・・・・・」
秀吉 「おい!!!みーつーなーり!!」
三成 「あっ、大変申し訳ございません。
もう一度仰っていただけますか」
今までにそんな三成を見たことがなかった武将たちは、お互いに目を合わせる。
家康 「やる気ないなら帰れよ」
三成 「そうですよね…
やる気はあるのですが…どうにも上手くいかなくて…」
家康 「は?」
いつにも増して会話がかみ合わない家康は、逆に三成の様子が引っかかっていた。
政宗 「お前、ちゃんと飯、食ってんのか?」
光秀 「三成がこのような様子なのは飯のせいではないだろう。
女か?」
察しのいい光秀は半分冗談、半分本気で三成の反応を見る。
そこに丁度、最近三成と親密な雰囲気の莉乃が茶を持って入室してきた。
「失礼いたします、お茶をお持ちしました」
二人が恋仲になったのかどうかは分からない。
ただ、二人が仲良くしている、というのは武将たちも分かっていた。
そしてそれをよく思っていないことは、公然の秘密だった。
明るく美人で、その場の雰囲気を一瞬で華やかにさせる莉乃の登場に、武将たちの顔に笑みが増える。
秀吉 「莉乃~、お疲れ」
政宗 「今夜、俺の御殿に飯食いに来いよ。」
光秀 「それはいい案だな。俺も参ろう。」
政宗 「光秀は来るな。お前はなんでも混ぜて食うから作る張り合いがない。」
武将たちは、莉乃が500年後から飛ばされてきたという物珍しさとは別に、それぞれがそれぞれなりに莉乃を気に入って、それぞれのやり方で関わろうとしていた。