第21章 猛将の憂鬱 ~後編~
(莉乃 Side)
何かに暖かく包まれているのを感じる。
いつの間に寝てしまったのだろう・・・ぼんやり目を開けると、
!!!!
隣ですやすやと寝息を立てているのは…信長様!?
信長様は寝顔も整っていて綺麗・・・
いや、今はそんなことを考えている場合じゃない。
なぜここに? ここは私の自室だよね…!?
何が起きたのか分からず軽くパニックになりながらも、必死で昨晩の記憶を手繰り寄せた。
考え事をしながら縫い物をしていて…
そこからの記憶がない。
状況判断するに、信長様が来て…
まさか布団に寝かせてくれた・・・?
あんなことがあってから、信長様とこんなに近づくのは久しぶりだった。
___そもそも、私達はまだ付き合いたてで…
同じ布団で寝たのも片手で収まる回数だったし、しかも天主の広々とした布団だったし・・・
この状況が異様に恥ずかしい。
天主で話したのを最後に、私たちはすれ違ったままだった。
気持ちも、行動も。
むしろ、信長様と向き合うのを避けていたのかもしれない。
信長様や武将たちと距離を置いて以来・・・
私の心はぽっかりと穴が空いたようだった。
信頼されていないというショックが悲しみに変わり、今まで自分がしてきたことはなんだったのだろうという虚無感。
子供っぽく嫌な態度を取り続けてしまう自己嫌悪。
そしてどんどんその沼にはまっていって、引き返すことも抜け出すこともできなくなってしまった。
前のように信長様や武将の皆さんと、他愛ない話で笑い合いたい。
もうその時間は戻ってこないのではないかという不安。
色々な感情が渦巻きすぎて、自分ではもうどうしようもないところまできていた。
昨晩はその底なし沼にはまりすぎてしまい何も考えられず、手を動かす事しかできなかったから、縫い物をしていて・・・
今に至る。
信長様の腕の中から抜け出そうと、回された腕をそっと外そうとしたその時
「どこにも____行くな」
低い声が、私を引き止めた。