第21章 猛将の憂鬱 ~後編~
___残された武将たちは重苦しい雰囲気の中にいた。
武将達それぞれが莉乃に対して様々な感情を抱いていたから。
光秀 「……これは予想以上だったな」
秀吉 「………」
政宗 「大丈夫だろ、あいつなら。二、三日すりゃけろっと元通りになるさ。」
家康 「だといいですけど。あの子、頑固ですから」
三成 「莉乃様は…
女子会に付いてこられた事を怒っているのではなく、疑われたことを悲しんでいらっしゃるのでしょう。
困ったときは頼ってください、と申し上げたのに…
莉乃様をお守りすべき立場の私たちが、傷つけてしまいました…
誰よりも誠実な方だと分かっていたのに。
あのような態度で傷ついた心をお守りになるのも無理はありませんね…」
三成のその言葉に、武将たちは黙ってしまう。
政宗 「どこに行くんだ家康!…お前にできることはねぇよ」
黙って広間から出て行こうとする家康をたしなめる。
家康 「じゃあ政宗さんなら何とかしてやれるんですか」
挑むような目線で政宗を見射る家康。
その視線を受け止めた政宗は静かにこう言った。
政宗 「いや、俺にもできねぇ。
あいつは…
あいつがいた500年後の世とこの世は違うんだ。
それをあいつはもっと理解する必要がある。
信じるとか疑う、って感情だけじゃない、世の理(ことわり)ってもんがあんだろ。
だがな、それを理解させるのは俺らの役目じゃない。
信長様の、だ。
なんてったって『かれし』なんだからよ。」
政宗の目には諦めきれない感情のような、寂しさが見えていた。
まるで、譲りたくないものを無理に手放した時のような。
秀吉 「信長様もあんなお顔、されるんだな…」
君主である信長と莉乃の関係に変化があった事は一目瞭然だった。
信長の内にこもる悲しみを察していた秀吉は君主のことも案じている。
立場や家柄といった全ての障害を飛び越えて、初めて信長様が心からお慕いになったのが莉乃だから…
しかし…