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【イケメン戦国】永遠の始まり~満ちて果てて~

第20章 猛将の憂鬱 ~前編~





___安土城



「信長様!急ぎ、お知らせしたいことがございます!」


天主の豪華な襖の向こうから、小姓の慌てた声がする。


「入れ」



小走りで来たのだろう、汗ばんだ小姓が文机で手紙の返信を書いていた俺に近づいた。



「すぐに、軍議の間にお越し下さい!」


「は? 軍議など招集しておらん」



「招集をかけたのは莉乃様でございます!

今…武将の皆様が、その…」


「なんだ、はっきり申せ」


「武将の皆様が…莉乃様より叱られております…」


「…策は失敗に終わったか。わかった、すぐに行く。」





やれやれ…

織田軍が誇る武将たちが揃ってしても、莉乃には歯が立たなかったか。

しかし、莉乃に叱られている、とは。
これはなかなかに見ものかもしれんな。



この後、莉乃の怒りの粉が自分に飛んでくるなど思いもしなかった信長は、莉乃の怒り姿が見られるとあって、楽しみに軍議の間へ向かった。





そこにいたのは、烈火のごとく怒った莉乃と、武将達。
___武将達は正座していた。



「…あやつは怒ると…恐ろしいな」

入室せずに、少し開けた障子の隙間から事の成り行きを見ていた。




「じゃぁ、秀吉さんのこの荷物は一体なんなんですか!
それ、市で私が買おうか迷っていたものですよね!?

三成くんの持ってるこの簪だって、私が試着していたものでしょ!?

それが監視していた、って確かな証拠じゃないですか!」



しょんぼりした様子の秀吉と困り顔の三成。




光秀 「いつ、気づいた? 俺たちがいることに」


「食事処です。 光秀さんが童貞だって話の時に。
ちらっと見えたんです、光秀さんが立ち上がったのを」


秀吉 「人に散々言っといて、お前が原因じゃねぇか!」



「みなさん…ひどい。
あれだけ付いて来ないでって言ったのに。
私のこと疑ってたってことですよね。」



そう言って涙を浮かべながら唇を震わせる。


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