第20章 猛将の憂鬱 ~前編~
___城下へと向かう武将達一行
家康 「これだけの武将が雁首揃えて莉乃の行動を探るなんて… 織田軍これでいいんですかね」
光秀 「抜けても構わないぞ、家康。」
三成 「万が一莉乃様にもしものことがありましたら私が全力でお守りしますので、家康様はどうぞご安心くださいね」
家康 「…俺も行きます。三成なんかに任せられないし。」
秀吉 「で、どうするんだ光秀。策はあるのか?」
光秀 「まぁ『尾行』だな。莉乃の行動の把握さえ出来れば、信長様もご満足だろう。
食べて買い物をするのを見張るだけだ。
と言っても、あの小娘は動物的野生の勘が鋭い。
「こっそりついてくるな」と先手で釘を刺すほどだからな。
さらに…運動神経もなかなかのものだ。
悟られて逃げられぬよう…決して近づいたり視界に入るなよ。」
政宗 「男と逢瀬だったら即刻止めに入るからな。」
光秀 「余程危険なことがない限り手を出すな。逢瀬だったにしても、だ。
万が一逢瀬なら…まず相手の身元を調べ上げ、そこから何でもいい、罪状を作り上げて投獄する」
家康 「え? そこまでやるんですか。光秀さんって結構…」
三成 「もしも尾行に気づかれてしまったらいかがすれば…?」
光秀 「シラを切れ。
莉乃に行動を探られたと知られてみろ。
あの娘の事だ…「私のこと信じてくれてなかったんですね」と目に涙を溜めて唇を震わせるに違いない。
お前たち、莉乃のそんな姿…見たくないだろう?
俺は見たいがな。
それに、、、口を聞いてもらえなくなるかもしれないぞ」
秀吉 「…それは絶対に避けなければならないな。
莉乃から口を聞いてもらえないなんて、想像しただけで俺は…俺は…」
政宗 「涙目になってるぞ、秀吉…
莉乃に悟られぬように付いて回る…なんだか燃えてきたぞ、俺は!一度、忍び的な事をやってみたかったからな。」
三成 「はい、私も心が浮き足立っております!遠くから莉乃様をじっくり観察する…
前々からしてみたいと思っていたところでした!」
家康「……まともな武将いないの、うちって…」
こうして綿密な策が練られたのか練られてないのか分からぬまま、武将たちは城下に到着した。