第20章 猛将の憂鬱 ~前編~
光秀「それを『じょしかい』と言うのか… 他愛ないな。」
家康「わざわざそのために着飾ったの、ばかみたい」
政宗「てっきり誰かと逢瀬かと思ったぞ。
逢瀬なら行かせないけどな。」
___この時、信長様と光秀の目が一瞬きらりと光り、家康の目が細くすぼめられる。
三成「それはずいぶんと楽しそうな会、ですね。」
三成くんだけがニコニコとしていて、他の武将たちは「何が楽しいのか分からない」という顔つきだった。
秀吉「そうか…
女子だけの集まりとは言え、心配だからついて行く。」
「えっっ!? ひ、秀吉さん、それだけはやめて。」
思わず強い口調で言ってしまった。
秀吉「なぜだ? そんななりをしていて…
変な輩に絡まれたらどうする。
それにそれだけ買い物をするんだろう?荷物を持ってやらないとな」
「買うか買わないか、は分からないの。ただ見て回るだけかもしれないし。
それに、今日は針子の仲間もいるから大丈夫。
本当に、絶対、平気だから。」
これ以上ない笑顔を見せながら、全力で「付いて来ないで」アピールをした。
垂れ目をしょんぼりとさせている秀吉さんを見て、少し胸が痛む…
(秀吉さんごめん。
でもね…
秀吉さんがいたら針子たちが恐縮してしまうし、あれこれ世話を焼かれるし、結局お会計は払われてしまうから好きなだけ食べられないし、気軽に買い物ができない。
女子だけの恋バナだってできなくなってしまう…
やっと!初めてつかんだこの機会なのだから、今日だけは!今日だけでも!!
姫とか織田軍とか作法から離れて「普通の女子」として楽しませて。
この世界でやっとできた…
姫とか関係なく接してくれる友達なんだもん…)