第19章 傾国の紅粉 【徳川家康 編】 R18
差し入れるために腰を落とすと、莉乃は強い力で首にしがみついてくる。
喘ぎでもいない、悲鳴でもない…
そんな声が腕の中でくぐもって聞こえてきた。
莉乃の中の弾力の強さに、腰を押し進めるのがきつい。
「うっくっっ…」
包まれる、なんて生易しいものじゃない。
握られるような、絞られるような、そんな感触に思わず声が出てしまう。
俺自身も、初めて経験する子と肌を重ねるのは初めてで、「知識」としてしか持っていなかった。
痛い、とか出血、とかは知っているし、優しくしなければいけないことも。
何も通り抜けたことのない…
指ですら侵入していないそこは、文献や男同士のふざけた経験談では知り得ることのできないほど、狭くまとわりつき、意識を白濁とさせる場所だった。
「もう、少し…」
中の抵抗に必死であがらいながら、腰を沈めていく。
最奥を突いたら痛いだろう、それなのに、そこに到達したい。
矛盾した考えが頭の中を巡る。
しがみつく莉乃は全身にぎゅっと力が入り、痛みをこらえているのがよくわかる。
俺は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「莉乃??」
回された腕は震え、膝も小刻みに揺れている。
短い呼吸を繰り返す莉乃を見ると、眉間にしわがよりながらも、口元には笑みがたたえられていた。
「だ、いじょうぶ、だよ。 家康の方が、痛そうな顔してる」
こんな時でも莉乃は綺麗だった。
「俺、今… 莉乃の一番奥にいる」
「うん」
「すごい、嬉しい」
「うん、私も」
深い部分で繋がったまま、俺は莉乃にありったけの気持ちを込めて、口付けした。