第19章 傾国の紅粉 【徳川家康 編】 R18
「歳とか、経験とか…気にしなくていい。
それよりも、莉乃を傷付けてしまったことが…
莉乃を失うのが、怖い…」
素直に、出てしまった。
おずおずと、俺の背中に手が回される。
あぁ、やっぱり莉乃の手は、体は温かい。
手放すことなんてできない、絶対に。
「私たち…お互い『怖い』って思ってるんだね」
到底受け入れらないかもしれないが、傷つけてしまった莉乃を癒したい。
俺の手で。
「莉乃、提案なんだけど。」
「ん?」
「もう一度、最初から始めさせて。
莉乃の全部、俺にちょうだい。」
抱きしめる腕に力を込める。
どうか、『はい』と言って…
「家康の全部も…私にちょうだい」
莉乃はいつもこうだ。
俺の考えを軽々と飛び越えてくる。
唇を重ねた。
流れた涙のせいで、少ししょっぱい。
舐めとるように暖かい唇に沿わせていくと莉乃の口が開き始め、暖かい吐息が漏れ始めた。
莉乃に荒々しくするなんて、間違ってた。
「とことん甘やかすから、覚悟して」
潤み始めた瞳で見つめられ、考えていることが手に取るように分かる。
…覚悟するのは俺の方、か。
柔らかい褥に莉乃を寝かせた。
先程、手荒く触れてしまった部分全てを、今度は癒すように触れていく。
唇で、指先で、俺が持ってる全部で。
俺の腕の中でだんだんと色づく莉乃。
こっちのほうがずっといい。
改めて襦袢の合わせを開き、さっきはよく見ていなかった莉乃の体を眺める。
こんな綺麗な体に、荒っぽく触れてしまったなんて…
苦い気持ちが蘇るが、もうあんな事はしない。
体のあちこちに口付けを落としていく。
肩、二の腕、指先。
お腹、へそ、脇腹。
特に敏感な耳と、胸の頂きにも。
どこに口を付けてもびくびくと震える莉乃が可愛らしすぎて、俺の中心が熱くなっていた。