第18章 傾国の紅粉 【豊臣秀吉 編】 R18
そっと舌が差し込まれ、まるで溶かすかのようにゆっくりと口内を渡ってゆく。
いつの間にか秀吉さんの夜着の合わせ部分を掴んでしまっていた私の指はそっとほどかれ、組み合うように手を繋がれる。
いつか私が逢瀬の時に教えた「恋人繋ぎ」だった。
求め合うように唇を重ねたまま、褥にそっと倒される。
背中が付くその瞬間にまで手をあてがって支えてくれる優しさも、私の胸を打つ。
「嫌だったり・・・痛かったら・・・すぐ言ってくれ」
「秀吉さんにされることだったら…全部嫌じゃないよ」
「こーら、あんまり煽るな」
私の彼は、どこまでも優しい。
唇がだんだんと場所を変え、首筋から耳へと移る。
ここは前にも口付けされた事があるけれど…
私を欲に飲み込ませる、スイッチのような場所だった。
「莉乃、耳、弱いよな」
吸ったり、舌を這わされている、と思う。
思考が乱れて、何をされているのか分からない。
ただ、ぞわぞわとした快感が内側から上がってきて、痺れたようになってくる。
呼吸が浅く短くなり、秀吉さんに触られている部分が熱くて仕方ない。
「ひ、でよし、さん…」
「大丈夫か??」
「なんか、変な感じ…熱いの」
「おい…その目… まいったな、まだ首と耳だぞ?」
体をよじったせいで襦袢の合わせが乱れ、胸の膨らみが少し見えてしまっている。
秀吉さんもそれに気づいたらしく…
「あぁ、もう…勘弁してくれ…」
小さくつぶやいたのを聞いてしまった。
不安になる…
「私、何か変??」
「いや、莉乃は変じゃない。
変になるのは俺のほうだ…」
よくわからないけれど、私が変じゃないのなら…と安心した。
何が正解の反応なのか、分からないから…
「続けて…いいか?」
秀吉さんの問いに頷くしかできなかった。