第18章 傾国の紅粉 【豊臣秀吉 編】 R18
「秀吉さん、さっきから何一人でにこにこしてるの?」
「お前と出会った頃のこと思い出してた」
「ふぅん・・・ ねぇ、秀吉さんにとって私って何?」
「なんだ突然。 そりゃもちろん愛する大事な人だ」
「そう・・・」
今日の莉乃はなんだかいつもと違う。
目には何か決意のようなものが宿るのを感じる。
潤んではいるけれど、酒のせいでもないような…
「疲れているのか? もう寝たほうがいいな」
そう言って、唯一部屋に灯されていた蝋燭を吹き消し、
「おやすみ、ゆっくり休め」
そう言って額に口付けた。
「秀吉さん… 手、つないでいい?」
「あぁ。」
そう言うと隣から指先を握られる。
指先から一つに繋がっている気分だった。
莉乃と接している側から暖かさが移ってきて、
だんだんと、俺は___
______________
(莉乃 Side)
『夜伽命令』作戦は秀吉さんの勘違いに始まり、私の意図は伝わらず。
さらにいつもの世話焼きのペースに乗せられて、一世一代の大決心 『襦袢姿で悩殺作戦』 も全く効かなかった。
しかも添い寝してやると言いながら、あっという間に寝落ちてしまうし…
誕生日なのに…もっと話したかったな。
ううん、話したかっただけじゃない。
もっと、その先へ… 進みたかった。
想いを伝え合って恋仲となってからも、秀吉さんは私の事を常に考えていてくれて、自分の感情は二の次のように見える。
大切にされるのは嬉しいけれど、それは『兄と妹』のような関係の延長線上にいるだけで、恋人として満足しているわけではなかった。
もっと、男としての欲望とか…
皆には見せていない素を出して私に向き合って欲しいのに。
それに…
おやすみのキスが額なんて… 寂しすぎるよ、秀吉さん…